【眠っていた「名著解説」×飲食店「マーケティング」Blog】

「名著」を振り返りエッセンス凝縮し、飲食店に活かせるように解説!

【対立構造と難解文章で虜になる!?】『脳科学マーケティング 100の心理技術』part③

人間は意識している理性ではなく

知らず知らずのうちの脳に従ってしまう。

 

そんな特性を研究した脳科学マーケティング

part②では「匂い」の絶大な効果について述べた。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/08/15/122928

 

今回は

人をファンにさせるテクニックをご紹介する。

 

 

 

 

 

①俺たちの敵はあいつだ!!共通の敵をつくる構造とは!?

かつて

ソ連アメリカは冷戦状態だった。

 

主要な国はどちらかについた。

どちらかにつくことで

お互いの仲間意識を芽生えさせる。

その結果、

日本はアメリカの属国と化しているわけだがww

 

これは国単位の話ではない。

会社でも個人の友人範囲でもあてはまる。

 

俺たち企業のライバルは、あの企業。

だから社員一丸となって追い越そう!

ベンチャー企業にありがち。

 

しかしだ。

当のライバル企業は

自社をライバルと思っていなかったりする。

実は経営者どうしは仲が良かったりする。

 

「共通の敵」をつくることで

仲間意識を高めるというテクニックなのだ。

 

重要なことは

ここでいう「ライバル」は

本当にライバルでなくてもいいということ。

 

世の中を変えたい。

こうゆう制度を改革する。

我々で変えていこう!

 

こうゆうことを声高にいって

支持を集める人がいる。

選挙中の政治家がまさにそれ。

その演説に感動して投票なんてしてしまう。

選挙演説 

 

しかしだ。

あなたは

その政治家が批判している制度について

どのくらい知っているのだろうか?

 

知っていて賛同しているなら問題ない。

しかし、ほとんど知識0のまま

政治家の事を信じてしまう。

いや、信じ込まそうとしているのが選挙だ。

 

いわゆる

「木を見せて森を見せない」方法だ。

コロナ禍で政治に対する不満が高まっている。

是非、一度冷静になって考えて欲しい。

 

Windows派 Mac派!?人を熱狂させるCMとは!?

 

あなたのまわりに

Macを愛してやまない人はいないだろうか。

 

もちろん

Macの性能が高いことは認めるが

ほとんどの仕事はWindowsで事足りる。

 

でも、Mac愛好家は絶対に譲らない。

 

何故ここまで「ファン化」しているのか。

これも立派な戦略だ。

AppleのCMを思い浮かべて欲しい。

 

Mac

I PHONE

などすべての製品CMで共通していることがある。

それは

その商品を使用している人に焦点があたっている」こと。

 

決して商品説明ではない。

その製品を使用した結果

得られた幸福なライフスタイルを描いている

 

そうすることで

「これを使っている俺たち」という仲間意識が生まれる。

 

元々の愛好家は更に「好き度」が増す。

いわゆる「もっとファン」になる。

 

あるいは

今までMacを使用してなかった人間の何割かは

「俺もあの仲間の一員になりたい」と願う。

そして購入する。

 

挙句の果てに

Windowsはダサくて嫌!とか言い出す。

 

まさしく

対立構造と人に焦点をあてた

プロモーションの成功例。

 

ことごとく

ジョブスの凄さを思い知らされるものだ。

 

 

③『ゴチになります』で検証済み!?高級レストランではメニュー名が長い!

 

ゴチになります』に出てくる料理名は長い。

~を添えて

~風味

etc

 

何故そうしているのか?

それは

長く難しい料理名の方が

人が美味しく感じる」から。

 

これも

脳科学を使ったテクニックである。

 

長い料理名は

読み手(客)の理解を遅くする。

すると読み手は勝手に

手が込んでいて、

技術が必要な料理だと思い込む。

 

それだけで美味しく感じるのだ。

 

国産豚のばら肉と新たまねぎをたっぷり使った

た醤油香り炒め~ジンジャー風味を添えて

 

いかがであろうか?

これを世間一般では

「生姜焼き」というのだ。

 

 

まとめ

・政治家達は「我々」という言葉で民衆を動かそうとする

Mac愛好家達は仲間意識でより「ファン度」が増していく

・料理名を長く難解にするだけで、

手間のかかった美味しい料理と勘違いする。

 

 次回は飲食店で実際に使える

脳科学マーケティングをご紹介していく。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/08/20/112602

 

【匂いで顧客をノックアウトorクレーム!?】『脳科学マーケティング 100の心理技術』part②

普段、何気なくしている「買い物」も

売り手の術中にハマっている我々消費者。

基本的なテクニックはpart①で述べた。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/08/13/134232

 

今回も引き続き紹介していく。

これを読めば、

きっとあなたも共感するだろう。

また売り手に回った時に

大いに活用出来るに違いない!

 

 

 

①匂いだけで髪サラサラになるシャンプー!?驚きの効果とは!?

シャンプー

毎日のように使うシャンプー。

特に女性はこだわりが強いだろう。

 

ノンシリコン

ダメージケア

オーガニック

などなど。

 

店頭に並ぶシャンプーの種類には驚かされる。

そんなシャンプーの中で

消費者が選ぶ基準のひとつに「匂い」がある。

 

「とてもいい匂い」のするシャンプーは

それだけでも優位といえる。

 

ここまでは当然の話だ。

面白いのはここから。

 

あるシャンプーを販売している会社が

成分を全く変えず

「匂い」だけを新しくした。

 

すると

今までそのシャンプーを使用していた

リピーターから

「髪がサラサラになった」

「髪にツヤが出た気がする」

といった好意的な意見が寄せられた。

 

当然だが

成分が変わらない以上

そんなことはあり得ない。

 

匂いを変えただけで

消費者が感じる「効能」すら改善されてしまうのだ!

 

②パンの匂いは快or不快?

パン屋

パン屋の前にいくといい匂いがする。

小麦とバターが入り混じったような匂い。

 

思わず

店内に引き込まれてしまうこともしばしば。

 

もちろん

食べ物に大して匂いの効果は大きい。

食欲を刺激することは言うまでもない。

 

これを利用しようとした会社がある。

アメリカのベーカリー会社だ。

人工的にパンの匂いを出す機械を発明し

バス停に設置した。

 

実際の店舗は

バス停から200Mほどの所にある。

 

これで匂いに惑わされた客達が

自店舗に買いに来る。

その勝算だった。

 

しかし

実際に来たのは

客ではなくバス会社からのクレームだったのだ。

 

バス停で待っている人達から

バス会社に

「なんかパンの匂いがする。やめて欲しい。不快だ」

といった趣旨のクレームがあった。

それをうけて

バス会社はパン屋に

機器を外してくれと頼んだのだ。

 

 

ここでわかることは

世間一般で

いい匂いとされているものでも

場所によって不快に感じることがある」ということ。

 

確かに

焼き鳥屋やお寿司屋さんで

香水のきつい女性は嫌われる。

 

しかし、パーティーや夜の街では好かれるだろう。

 

つまり

匂いとは

それ単体で価値はない。

「場所×使用シーン×匂い」

この公式が

消費者にダイレクトに効くのだ!

 

 

まとめ

・匂いは購買行動を促すだけでなく、

商品そのものの(効用)すら変えることができる。

 

・良い匂いとはTPOによる。

「場所×使用シーン×匂い」の公式に沿って、匂いを活用する必要がある。

 

【買い物に理性は利かない!?】『脳科学マーケティング 100の心理技術』part①

買い物は計画的にするタイプだ!

念入りに下調べして、本当に自分にとって必要なものしか買わない!

 

そう信じていないだろうか?

しかし、人間はそんなに理性的ではない。

 

売る側にまんまと踊らせていたんだと衝撃を受けた。

同時に、商売に使えるノウハウでもある。

 

今回はそんな本を解説していく。

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①赤ちゃんの目線の先は・・・

購買行動を促すものと言えばポスター。

どこに行ってもある。

そんなポスターにも脳を興奮させる裏技が隠されている。

それか赤ちゃんだ。

ベビー用品売り場では定番だ。

 

では、ポスターの赤ちゃんは何処を見ているだろうか?

想像してみて欲しい。

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こんな実験がある。

こちら(正面)を向いている画像

商品の方を向いている横顔の画像

 

この2つのポスターを比べたときに

後者の方が顧客の購買行動に影響を及ぼすことがわかった。

 

理由は、

「人は相手の目線の先にあるものに注視するから」だ。

この習性をうまくつかっている。

 

これはキレイな女性のポスターでも同じだ。

正面で見つめられているポスターは「ドキッ」とするが

それより横顔の方が購入されやすい!

 

②思わず買ってしまう「オトリ」の絶大効果

 

あなたはある新聞を取ろうと思い立った。

「WEB」と「紙」それぞれ、

あるいは「両方セット」の3プランがある。

 

価格はいかの通り

WEBのみ:2,000円/月

紙のみ:3,500円/月

両方セット 3,500円/月

 

あなたはどのプランを選ぶだろうか?

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お得だから両方セット!

そう答えた人も多いはず。

まんまと売り手の術中にはまっている

セットで購入させ、単価をあげる

いわゆる「アップセル」作戦の餌食だ!

 

この価格設定には

あるカラクリがある。

お気づきだろうか?

 

それは

紙のみ:3,500円/月である。

 

売り手は最初から、

紙のみを販売する気などない。

セットを売るための「オトリ」としてつくったのだ!

 

しかし、買い手の心理はこの「オトリ」のせいで

まんまと騙されるのだ!

 

かくゆう私も

同じような経験をしたことがある。

 

みなさんもあるのではないか?

 

次回に続く

 https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/08/15/122928

 

 

 

 

ウソの脅しが最強!?『ゲーム理論のポイントがわかる本』 part③

人間をプレイヤーとし

物事を考える「ゲーム理論」。

 

part②では

囚人のジレンマ」など

代表的なエピソードを紹介してきた。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/24/172723

 

今回は、とりわけ

会社やビジネスにまつわるエピソードを

紹介していく。

 「脅し」とは

決して特定の業界のみの習慣ではない。

あらゆるビジネスシーンで使われている。

 

これを読めば

きっとあなたのビジネスに役立つはずだ!

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【目次】

 

 

 

 

①新規参入するなら、ケンカor仲良く?「ゲームの木」

 

あなたは社長。

新規市場に参入するか迷っている。

具体的には飲食店である。

飲食店はやったことがない新参者だ。

 

候補の立地のスグ横は海鮮居酒屋。

しかも大手チェーン。

つまり競合がいる。

 

この時、あなたならどうするだろうか?

考えられる手段は3つ。

 

・出店しない

・イタリアンなど違う業態で出店する

・海鮮居酒屋など同じような業態で出店する

 

これらを考える時に使用するのが

ゲームの木」だ。

 

まず「出店しなければ」

あなたと競合(海鮮居酒屋)の点数は

0・10。

現状と同じく競合が勝っている。

当たり前だ!

 

問題は残り2つだ。

「イタリアンなど違う業態で出店する」

というのはゲーム理論では「融和」政策という。

つまり、お互い、違うやり方で頑張っていきましょう!

という政策である。

 

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一方

「海鮮居酒屋など、同じような業態で出店する」

というのはガチンコのケンカだ!

これをゲーム理論では「抵抗」政策という。

 

さて

「融和」の時と

「抵抗」の時のPOINTを考えよう。

 

まず「融和」の時は

自分・競合=5・5。

つまり、あなたの店舗はそれなりに

商売できている。

 

次に「抵抗」の時は

自分・競合=-1・7。

チェーン店にはかなわず

あなたの店舗は全然ダメ!

 

以上のような予測が立つ。

 

 

では、あなたはどうするだろうか?

恐らく「融和」を選ぶのではないだろうか。

 

断言する。

それは間違いだ

理由は、競合が必ず「抵抗」してくるからだ。

 

競合の立場に立って考えて欲しい。

あなたが出店するまで、競合は客入りが良かった。

 

例え隣の店舗が「イタリアン」だとして

ある程度「棲み分け」が出来ている=融和している

としてもだ。

競合のPOINTは10から5に減っているのだ。

つまり、売上が下がったということ。

 

では、競合はどうするのか?

あなたより飲食のノウハウが明らかにある大手だ。

あなたの店舗に「勝てる自信」があるのだ。

だから「抵抗」してくる。

具体的には

イタリアンに業態変更したり

今の海鮮居酒屋のメニューに

イタリアンっぽいメニューを追加してくる。

そうすることで

いわば飲食の新参者であるレベルの低い

あなたを倒そうとしてくるだろう!

 

では、「抵抗」政策の時の

自分と競合のPOINTを思い出して欲しい

自分:競合=-1:7。

 

つまり、あなたの店舗は大赤字。

当然だが

-(マイナス)より0(何もしない)方がましだ。

従って、あなたは店舗を出店しないことがBESTだと言える。

 

もちろん、仮にすぐ出店した店舗がつぶれても

「経験」というノウハウは得ることができる。

しかし、あくまでも「ゲーム理論」は

勝つための理論だということを理解して欲しい。

 

 

②思っていなくても脅す!?「空脅し」

 

ハッタリが上手い人間がいる。

思ってもないことを言って相手を信じさせる。

真実と真逆の素振りをして相手を騙す。

そんな人だ。

 

それを駆使するゲームがある。

ポーカーだ。

ポーカーは自分が例えノーペア(やく無し)

でも、相手を騙して戦いから降りさせることが

できたらチップがもらえる。

いわば「ハッタリ」の遊びだ。

ゲーム理論では

ハッタリを「空脅し(からおどし)」という。

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これと同じようなことが会社間でも起きる。

ある地方都市で

A社とB社はお互いにお菓子をつくっている。

それぞれ、うまくやっている。

POINTは

A:B=5:5。

いわば「ナッシュ均衡」である。

 

しかし、A社の社員であるあなたは

B社が新たに工場をつくって生産数を増やす、

という情報をある筋から入手。

早速、上司に相談した。

小さな会社であるがゆえに

スグに社長と耳まで届き

A社としてどうするか役員会議が開かれた。

この時、A社は絶対に避けるべき手段がある。

それは「自分も工場」をつくること。

何故なら、両者で生産数を2倍にすると

「供給過多」になり、在庫を抱えることになる。

いわば、「利潤」がお互いに減るのだ。

POINTでいうと

A:B=3:3になってしまう。

いわゆる、「食い合い」になって両者とも得しない。

しかしだ。

A社は何もせず、B社が工場を新設すると

B社の製品は売上を伸ばすだろう。

そのくらいの需要はある。

このままB社の工場がでいてしまうと

POINTは

A:B=3:7になってしまう。

 

一体、どうすればいいのか?

A社にとって最も望ましいのは

「今まで通りの状態。

つまり、B社が工場をつくらないことだ。

 

では、どうすればB社は工場新設を取りやめるだろうか?

そこで社長が取った行動が「空脅し」。

 

つまり、

工場をつくる気など無いのに

つくるとハッタリをかますこと。

「B社さん。

おたくが工場を新設するなら、うちもそうしますよ。

でも、よく考えてください。

それってお互いにとって不幸でしょ。ねえB社さん。」

 

両社が工場を新設すれば

B社の利潤も減ることもB社は理解している。

B社としても「損」はしたくない。

 

結果、B社がとった行動は

工場を新設しない」。

 

つまり、B社が

ゲームから降りた。

 

ハッタリを信じ込ませた

A社の社長の勝利である。

 

 

しかし、「空脅し」を使う時に

気をつけなけらばいけないことがある。

それはバレないようにすること。

 

「お前、それ嘘だろ!」

とツッコまれたら終わりであるw

 

嘘を本当だと信じ込ませる必要があるのだ。

その為にどうするのか。

 

会社間で使われるのが、いわゆる「サクラ」だ。

わざとB社の社員や社長に「偽りの情報」が入るようにする。

 

人は第三者から聞いた事柄の方が信じやすいのだ。

 

あるいは「コミットメント」だ。

A社の社長がメディアなどで約束する。

「もしB社が工場を新設したら、

必ず我が社も同じことをする。必ず。」

 

この方法は、

一見、A社が自分の選択肢を狭めているように見える。

しかし、実際は

B社の選択に影響を及ぼすことができるのだ。

 

 

私はこの『ゲーム理論』を学んで

まるで「カイジ」の世界だな、と思った。

ざわ、ざわ、ざわ・・・・・

 

自白するべき?しないべき!?『ゲーム理論のポイントがわかる本』 part②

人間をプレイヤーとし

物事を考える「ゲーム理論

 

この理論を使えば

世の中の疑問が解けていく快感に浸ることができる。

「何故、同じような居酒屋が隣同士にあるの?」

誰でも持ったことのある

この疑問の回答はpart①を読んで欲しい。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/19/122138

 

今回は「ゲーム理論」の中で

具体的な事例をエピソードとともに紹介する。

 

予言しよう!

あなたの読後の感想は

「人生、そんなにうまくいかないモンだな~」

である。

 

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【目次】

①自白するべき?しないべき!?「囚人のジレンマ

 

 

暗く狭い取り調べ室。

刑事が容疑者Aに囁く。

「実はな、お前の他にもうひとり容疑者がいるんだよ」

Aの眉がピクリと動く。

その反応を確かめてから刑事が続ける。

「知らなかったのか。まあいい。

でもな、お前らのうち必ずどちらかが犯人だ。

確信している」

Aは表情を変えないように

顔の筋肉を強張らせた。

 

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「そこでだ」

刑事の声がワントーン落ちる。

「ひとつ提案がある」

「提案?」思わずAは訊いた。

「そうだ。悪くない提案だ。

もし、お前だけが自白したら、お前を無罪にしてやるよ!

そして、もうひとりの容疑者を10年間

刑務所にブチ込んでやる。

でもな、2人とも白状したら2人とも

7年間、刑務所でマズい飯を食うことになる!

どうだ悪くない提案だろ」

刑事は笑みを見せた。

Aは曖昧に頷きつつも

なんとか助かりたいという想いから、

言葉の意味を反芻する。

整理できたとき、ある疑問が浮かんだ。

おそるおそる声に出してみた。

「もし。もしもの話ですよ。

私が白状しなかったらどうなるんですか?」

刑事は口の端を曲げて微かに笑った。

まるでこの状況を楽しんでいるようだ。

「いい質問だな。

折角だから教えてやるよ。

もし、お前が黙っていて、もうひとりが自白したら

そいつは無罪放免。

お前は10年間刑務所だ。」

それだけは避けたいとAは瞬時に思った。

刑事が続ける。

「それとな、ここからが重要なんだ。

もし、二人とも黙秘を続けたらどうなるのか。

二人とも1年間だけ刑務所に入ってもらう。

まあ、痛み分けってことだな」

Aはただ虚ろな目で刑事を見るしかなかった。

刑事は腕時計にチラリと目をやった。

そして、ゆっくり椅子から立ち上がり

ひとつしかない扉まで歩いていく。

革靴のかかとの音がやけに大きく聞こえる

ドアの取っ手も持った時、こちらに向き直った。

「さて、どうする?

制限時間は30分だ。

ちょうど30分後にここに戻ってくる。

その時の答えでお前の人生決まるな」

 

呼吸が苦しい。

俺はどうすれば?

刑事の見透かしたような声が飛んできた。

「ついでにいうとな、もうひとりの容疑者も

別の取り調べ室で同じ提案をされているよ。

せいぜい考えることだな。

まさに運命の分かれ道」

扉の閉まる音が聞こえて

再び闇の静寂になった。

心臓の音だけが激しく聞こえる。

 

俺は一体どうすれば??

 

あなたならどうするだろうか?

ここでポイントを整理したい。

 

part①で述べたように

プレイヤーは常に

「自分にとって一番得な選択をする」

するとAにとってのBESTは「自分が自白。相手が黙秘」である。

しかし、それはBも同じだ。

2人とも同じ考えで、2人とも自白したら刑務所7年。

それだけは避けたい。

では、A・B双方にとってBESTなのは

「2人とも黙秘」だ。

刑務所には入るが、たった1年だ。

1年間、我慢すれば出られる。

自白するのは、いわばハイリスクハイリターン」

やはり黙秘しようか。

そちらの方がローリスクローリターンだ。

いや、待て。

違う!

もしAが黙秘して、

Bがイチかバチかのかけで白状したら。

Aは最悪の刑務所10年になる。

 

では、どうすれば?

このエピソードの答えは「答えはない」ということ。

だからジレンマなのだ。

 

しかし、このジレンマが生じるには条件がある。

A・Bがお互いに「信頼関係」ではないことだ。

 

もし、AとBがパートナーなら

揃って黙秘するはずだ。

お互いにとって最も痛みが少ないからだ。

 

もし、AがBの舎弟なら

B(兄貴)の無罪放免の為に

Aは黙秘するだろう。

 

(もちろん、それすら裏切る奴がいるが、、w)

 

このジレンマは

「世の中の不条理」と「信頼関係の構築の大切さ」

を教えてくれている。

 

②欲が深すぎ!!「牧草地の悲劇」

 

広大な牧草地。

その数㎞離れた村で

数人の畜産農家が牛を育てていた。

農家が牧草を時々取りに行き

朝昼晩に一定量をエサとして与えていた。

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ある時、牛の一頭が逃げ出し帰ってこなかった。

しかし、数か月後帰ってきたのだ。

大きな体をして。

牛は一定数のエサではなく

自然の牧草を食べ漁り、体重を増やした。

農家はその牛を売りに出した。

すると、他の牛より高値でうれた。

やはり、大きい牛は肉も多いし、

脂身をうまいとされるからだった。

 

 

そこで、農家たちは思いついたのだ。

それは「牛を牧草地に放し飼い」にすること。

農家たちは実際にそうした。

自分達は仕事もせずとも

牛たちは勝手に大きくなる。

ある程度の所で戻ってくる。

その時に売りに出せばいい。

もし、戻ってこなけらば、

こちらから出向いて捕まえる技術はあった。

 

農家たちは毎夜毎夜、ワインを飲みかわし

昼間は葉巻をくわながら本を読んだり

昼寝をしたりして過ごした。

 

ところが、数か月しても

一向に牛たちは帰ってこない。

 

仕方なく農家たちは

自分達で捕まえにいくことにした。

太陽の日差しを浴びながら

牧草地まで歩いた。

到着した時、彼らの目に映ったのは「絶望」だった。

牛たちのほとんどが死んでいたのだ。

 

「何故だ!?」

農家の一人が声を荒げた。

あまりの衝撃に誰も返答しなかった。

数十秒して、誰かが冷静な声で言った。

「よく見て欲しい。

牧草がない。

みんな食べきってしまったんだよ。

途中でエサがなくなって

ほとんどの牛が餓死したんだ!」

 

 

このエピソードを知った時

私は直観的に「ウイルスと同じだ」と感じた。

コロナウイルスで世間は持ち切りだが

ウイルスと人間との関係性に似ている。

 

ウイルスは牛で、人間が草になる。

つまり、ウイルスは人間をエサとしているが

その結果人間を殺してしまい、自分も死ぬ。

いわば「ウイルスの自殺」である。

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人間の生活も

時にはウイルスほど愚かなことをするのだ。

 

では

牧草地の農家たちはどうすればよかったのか?

繰り返しになるが

「人間は自分にとって一番得」な行動をとる。

牛に牧草をたくさん食べさせて高く売る。

これが一番得だ。

牛を解放するという手段は間違っていない。

しかし

その結果「牧草が足りない」という

困難」に陥った。

この困難を防ぐ必要がある。

その為にあるのが「規範」といわれるものだ。

 

「規範」とは

「牛を放し飼いにすると

お互いに商売できなくなるから、

牛の放し飼いは禁止しよう」

というルールである。

これを守ることで

結果的に、多くの農家が得をするわけだ。

これをゲーム理論では「協調」という。

 

一人のBESTではなく

協力するみんなのBETTERを選ぶ。

結果的に大局で見ればそれがBESTだ。

こうゆう考えである。

 

③裏切られたらどうする?半沢直樹は最強の戦略家!?

 

囚人のジレンマであれ

牧草地の悲劇であれ

お互いに協力すれば問題ない。

 

しかし、そんなに甘くない。

必ず「裏切る」奴がいる。

 

 

ルールをつくって

みんなで守っているのに

一人だけ抜け駆けするやつ。

 

2人の信頼関係の上になりたつ

秘密の話なのに

勝手にバラす奴。

 

こんな奴等が

あなたのそばにもいるはずだw

 

では、裏切られたあなたにとって

奴等に対する最高の戦略とはなんだろうか?

それは「しっぺ返し」である。

これは科学的にも実証されている。

 

相手が「協調」していたら

こちらも「協調」。

 

相手が「裏切る」ことをしたら

こちらも「裏切る」。

 

つまり

やられたらやり返す!

半沢直樹こそ最強のゲーム理論戦略家なのだ。

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次回は

現在の企業どうしの生き残り合戦を

ゲーム理論の立場で解説する。

 https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/28/231258

 

 

 

同じような店舗が隣どうしの理由は!?『ゲーム理論のポイントがわかる本』 part①

「このへんって、同じような居酒屋が並んでるよね!?」

「客の取り合いにならないのかな?」

 

そんな疑問を持ったことはないだろうか?

どうせだったら

もうちょっと距離を置けば

お互いに商売がうまくいくのに。

 

しかし、隣接していることには

明確な理由がある。

それは「互いに最適の状態」だからだ!

 

最適じゃねえだろ!

 

常識的に考えればそうだ。

しかし、ある理論に基づくと「最適」となる。

それが「ゲーム理論」。

 

日常のあらゆること

人間の行動を

「ゲーム」の観点から明らかにする理論だ。

 

そして

この理論は

有利に戦うため」には非常に便利である。

 

この理論を学べば、得られる変化は2つある。

・自分や自分のビジネスを戦略的な考えられる

・「そんなことあるよね~」と共感し理解できる。

 

是非、最後までお付き合いいただきたい。

 

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【目次】

 

 

 

①全員が「プレイヤー」!?みんな「得」したい!

 

 

ゲーム理論では

人間を「プレイヤー」と呼ぶ。

 

日常生活の中で

なにかしらのゲームに参加しているからだ。

そして、プレイヤーは「合理的な判断」をする

という前提にたつ。

だから

「自ら損をしない」。

「利得が最大の選択をする」。

 

もちろん、

人間なのだから感情的になり

結果「損」を取ってしまうことが現実ではしばしば。

しかし、「ゲーム理論」はあくまで「理論」である。

言い換えれば

勝つために、冷静な戦略を練る」ための道具だ。

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もうひとつ重要なキーワードがある。

インセンティブ」だ。

 

決して、営業成績が良かった時のボーナスではないw

インセンティブ」とは行動を起こす理由となるもの

という意味である。

 

 

②お互いに最適な状態!?「ナッシュ均衡」とは?

 

では、このゲーム理論に基づいて

「同じような店舗が隣どうし」の理由を

明らかにしていきたい。

 

結論からいうと

最初は離れていたが、どんどん近づいてきた」のだ。

 

順を追って説明していく。

 

ある道の両端にA・Bそれぞれの店舗があった。

店舗は

当然、自分にとって一番「得」がしたいのだ。

 

左端のAは

もう少し中央によれば、

もっとお客様を集客できる、と考える。

端なら気付かれにくい。

お客様は、決まってみんな面倒くさがりやだ。

歩くのも面倒くさい。

可能な限り近い店にいきたいのだ。

だから

もっと目立つ「認知」が取れるところにいきたい。

出来れば、右端のAのお客様も奪いたい。

 

 

一方、右端のBも

同じことを考える。

そして実行。

 

 

 

すると、どうなるのか?

AとBがどんどん距離を狭めていく。

結果、両隣になる。

 

お互いに道の中央に店を構えることで

「認知」が広がり、売上UPに繋がる。

 

つまり、隣どうしが

いわば「最終系」なのである。

そして、互いに「最終系」の状態で商売ができる。

「互いに最適の状態」なのだ。

これをゲーム理論では「ナッシュ均衡」と呼ぶ。

 

ナッシュ均衡がどうかを確かめる方法もある。

 

まず相手を固定する。

その状態で自分を「最適の状態」にする。

その時、相手が動くかどうか?を確かめる。

 

動けば、ナッシュ均衡ではない。

何故なら、相手はあなたが動いて「不利」になったと

感じている。

だから行動を起こす。

 

しかし、相手が動かなければ

それは、あなたにとっても相手にとっても

「これでOK!」と判断しているということ。

つまりナッシュ均衡が成立するのだ。

 

先ほどのA・Bの店でいうなら

互いに中央に寄っていく途中は

ナッシュ均衡ではない。

互いに「もっと中央に」という行動を起こし続けるからだ。

 

行動の結果

「隣どうし」になった。

それ以降は立地を変えない。

つまり行動を起こさない。

だから「ナッシュ均衡」になったと表現できるのだ。

 

 

どうして

同じような店舗が固まっているのか?

 

仕事終わりに

居酒屋を探して歩いている時の

疑問が解けただろうか。

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しかし、この理論は完全ではない!

うまくいかないことがある。

それが「囚人のジレンマ」というものだ。

人生がかかった大勝負に

囚人たちはどう行動するのか??

 

次回に続く!

 https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/24/172723

 

 

 

『世界にひとつだけの花』が名曲の理由!?『バカの壁』

日本のベストセラー著書ランキングに必ず出てくる本。

 

バカの壁

作者はおなじみ、養老孟司

 

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この本を初めて読んだのは

今から10数年ほど前。

確か、大学生くらいだった。

その時はピンとこなかった。

私がバカだったからだろうかw

 

本棚の奥の方で見つけて再読。

なるほど!と感銘を受けた!

社会に揉まれ

少しは賢くなったのだろうかw

 

 

【目次】

 

 

 

①筋肉を動かすことのみ!?当然だが悲しい現実

 

養老先生は脳科学者であり

解剖学者である。

いわば人体のエキスパートだ。

そんな彼がいう。

脳が命令できることは筋肉を動かすこと」だけだと。

 

ん?

5秒ほど悩む。

 

しかし、現実はそうだ。

 

心臓を動かすのも筋肉。

息をするのも筋肉。

話すことも筋肉。

歩くことも筋肉。

笑うことも泣くことも筋肉。

 

所詮、すべては筋肉の運動に過ぎない。

意識的なことも無意識のことも。

確かにそうだと認めざるを得ない。

 

 

②意識とは!?そんなに偉いのか?

 

しかしだ!

思考や意識はどうなんだ!!

とツッコみたくなる。

 

それに対して、養老先生はこう答える。

意識って何かわからない!と。

 

「何故、意識があるんですか?」

「意識とはなんですか?」

 

これらの質問に答えることは現在できない。

 

しかし、ここで養老先生は警鐘を鳴らす。

意識ってそんなに偉いのか?と。

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我々は意識(脳)が体をコントロールしていると

ついつい考えがちだ。

でも、よく考えて欲しい。

意識はどこから来たのか?

 

意識は

朝、勝手に表にでてきて(朝、起きて)

夜、勝手に裏に引っ込んでいく(夜、眠る)。

 

意識は自分自身で出し入れができない。

そんな程度の「モノ」が、

表にでてきているとき(日中)だけ

「自分が一番偉いんだ!」と出しゃばる。

 

イタい奴だ。

 

そして、現在は

そのイタイ奴を中心にした社会になっている。

分かりやすくいうと「ああすれば、こうなる」社会だ。

 

都会にいけばいくほどそう。

駅にいけば、時間通りに電車が来る。

スマホを見れば、液晶がつく。

メールをうてば、相手に届く。

リモコンを押せば、クーラーがつく。

etc・・・・・

 

現代社会の本質は「ああすれば、こうなる」になる。

それ以外は認めない。

クレームになる。

不都合だ、不便だと切り捨てられる。

全てに合理的な意味を含む必要がある

 

これらは全て「意識」がつくった社会だ。

作者は「脳化社会」と呼ぶ。

 

しかし、そんな社会の中にも

ひとつだけ「ああすれば、こうならない」存在がいる。

それが「」だ。

 

人は本来、自然だ。

自然は「ああすれば、こうならない」。

 

何故、ここに木があるのか?

何故、ここに虫がいるのか?

 

脳化した人間が考える。

しかし、本来、自然に理由などない。

 

「ただ、そこにある」のだ。

だから仕方がない。

 

 

しかし、脳化が進みすぎた人は

「意味がないこと」を認めない

そして、自分はすべての意味を理解できる、と

妄信している。

 

だから、

道路を草を「雑草」と名付けて捨てる。

 

結婚し、子供を産む数が減っているのも

この思想が一因だと作者は語る。

 

つまり、子供とは自然だ。

 

育てたことがある人ならわかるだろうが

子供は「ああすれば、こうならない」。

絶対に。

経験者は語るだw

 

抱っこしたって、泣き止まない。

早く寝かしたって、急に発熱する。

一生懸命育てたって、立派な人間になるとは限らない。

犯罪者になる可能性だって0ではない。

 

そんな不確実なモノは

脳化した人間にとって「不要」なのだ!

 

 

③個性って何?最も個性的な人が集まる場所とは

 

平成の時代。

「個性を伸ばす教育」をしてきた。

私もそれを受けた一人だ。

 

そんな教育おかしい!

間違ってる!

作者はツッコミを入れている。

 

理由は、個性とは勝手に出るものだから。

どんなに人と同じにしようとしても

必ず違いは出る。

それが個性である。

そして、それは生まれつき全員が持っている。

「身体」だ。

 

身体は、

当然だが全員違う。

顔が違う。

 

誰も「個性的な顔」になろうと思って

生まれてきていない。

 

ただ「その顔」で生まれてきたのだ。

それだけで十分、個性的である。

 

 

しかし、現在は個性を「心」に求めている

つまり、個性的な心・考え方を持つ人間が良い、

とされる傾向がある。

 

そんな中、作者は最も個性的な考え方を

持っている人たちばかりが集まった場所。

ワンダーランドを知っているという。

それはどこか?

 

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答えは「精神病院」である。

 

 

④名曲『世界にひとつだけの花』に感動する人の勘違い

 

SMAPの名曲『世界にひとつだけの花』。

この曲に感動する人は多い。

アンチの人もいる。

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ある時

大学教授でもある作者は

カラオケで唄っていた学生に

こう言ったという。

 

「世界に2つある花があるなら持ってこい!

それだけで成績を「優」にしてやる!」

 

 

すべてのものは違うのだ。

我々の顔が違うように、

花だって全て違うのだ。

 

 

いや、同じ花があるじゃないか!

 

そうツッコんだ人は

「意識が強すぎる人間」ですw

 

同じにしたのは言葉です。

言葉をつくったのは人間の意識です。

まさしく脳化人間です。

 

頭を柔らかくして考えて欲しい。

 

あなた外に出た。

花が咲いているのが見える。

その横に「同じような」花が咲いている。

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これらは違うものだ。

当たり前だ。

そもそも場所が違うのだから。

視覚という「感覚」に頼ると当然だ。

 

その2つの花を

「チューリップ」と勝手に人間が名付けた。

そして「同じ」にした。

チューリップの許可も取らずに。

 

つまり、

「意識」に頼れば

違うものは同じになる。

 

「感覚」に頼れば

全てが違う。

 

 

『世界にひとつだけの花』は

至極、当然の事実を謳っているに過ぎない。

では

どうして、これほど名曲になるのだろうか?

 

答えはわかるだろう。

 

いかに私も含めた現代人が

「意識」中心で「脳化」しており

人間ですら「同じ」にして扱っているか!

ということだ!