【眠っていた「名著解説」×飲食店「マーケティング」Blog】

「名著」を振り返りエッセンス凝縮し、飲食店に活かせるように解説!

ウソの脅しが最強!?『ゲーム理論のポイントがわかる本』 part③

人間をプレイヤーとし

物事を考える「ゲーム理論」。

 

part②では

囚人のジレンマ」など

代表的なエピソードを紹介してきた。

https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/24/172723

 

今回は、とりわけ

会社やビジネスにまつわるエピソードを

紹介していく。

 「脅し」とは

決して特定の業界のみの習慣ではない。

あらゆるビジネスシーンで使われている。

 

これを読めば

きっとあなたのビジネスに役立つはずだ!

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【目次】

 

 

 

 

①新規参入するなら、ケンカor仲良く?「ゲームの木」

 

あなたは社長。

新規市場に参入するか迷っている。

具体的には飲食店である。

飲食店はやったことがない新参者だ。

 

候補の立地のスグ横は海鮮居酒屋。

しかも大手チェーン。

つまり競合がいる。

 

この時、あなたならどうするだろうか?

考えられる手段は3つ。

 

・出店しない

・イタリアンなど違う業態で出店する

・海鮮居酒屋など同じような業態で出店する

 

これらを考える時に使用するのが

ゲームの木」だ。

 

まず「出店しなければ」

あなたと競合(海鮮居酒屋)の点数は

0・10。

現状と同じく競合が勝っている。

当たり前だ!

 

問題は残り2つだ。

「イタリアンなど違う業態で出店する」

というのはゲーム理論では「融和」政策という。

つまり、お互い、違うやり方で頑張っていきましょう!

という政策である。

 

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一方

「海鮮居酒屋など、同じような業態で出店する」

というのはガチンコのケンカだ!

これをゲーム理論では「抵抗」政策という。

 

さて

「融和」の時と

「抵抗」の時のPOINTを考えよう。

 

まず「融和」の時は

自分・競合=5・5。

つまり、あなたの店舗はそれなりに

商売できている。

 

次に「抵抗」の時は

自分・競合=-1・7。

チェーン店にはかなわず

あなたの店舗は全然ダメ!

 

以上のような予測が立つ。

 

 

では、あなたはどうするだろうか?

恐らく「融和」を選ぶのではないだろうか。

 

断言する。

それは間違いだ

理由は、競合が必ず「抵抗」してくるからだ。

 

競合の立場に立って考えて欲しい。

あなたが出店するまで、競合は客入りが良かった。

 

例え隣の店舗が「イタリアン」だとして

ある程度「棲み分け」が出来ている=融和している

としてもだ。

競合のPOINTは10から5に減っているのだ。

つまり、売上が下がったということ。

 

では、競合はどうするのか?

あなたより飲食のノウハウが明らかにある大手だ。

あなたの店舗に「勝てる自信」があるのだ。

だから「抵抗」してくる。

具体的には

イタリアンに業態変更したり

今の海鮮居酒屋のメニューに

イタリアンっぽいメニューを追加してくる。

そうすることで

いわば飲食の新参者であるレベルの低い

あなたを倒そうとしてくるだろう!

 

では、「抵抗」政策の時の

自分と競合のPOINTを思い出して欲しい

自分:競合=-1:7。

 

つまり、あなたの店舗は大赤字。

当然だが

-(マイナス)より0(何もしない)方がましだ。

従って、あなたは店舗を出店しないことがBESTだと言える。

 

もちろん、仮にすぐ出店した店舗がつぶれても

「経験」というノウハウは得ることができる。

しかし、あくまでも「ゲーム理論」は

勝つための理論だということを理解して欲しい。

 

 

②思っていなくても脅す!?「空脅し」

 

ハッタリが上手い人間がいる。

思ってもないことを言って相手を信じさせる。

真実と真逆の素振りをして相手を騙す。

そんな人だ。

 

それを駆使するゲームがある。

ポーカーだ。

ポーカーは自分が例えノーペア(やく無し)

でも、相手を騙して戦いから降りさせることが

できたらチップがもらえる。

いわば「ハッタリ」の遊びだ。

ゲーム理論では

ハッタリを「空脅し(からおどし)」という。

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これと同じようなことが会社間でも起きる。

ある地方都市で

A社とB社はお互いにお菓子をつくっている。

それぞれ、うまくやっている。

POINTは

A:B=5:5。

いわば「ナッシュ均衡」である。

 

しかし、A社の社員であるあなたは

B社が新たに工場をつくって生産数を増やす、

という情報をある筋から入手。

早速、上司に相談した。

小さな会社であるがゆえに

スグに社長と耳まで届き

A社としてどうするか役員会議が開かれた。

この時、A社は絶対に避けるべき手段がある。

それは「自分も工場」をつくること。

何故なら、両者で生産数を2倍にすると

「供給過多」になり、在庫を抱えることになる。

いわば、「利潤」がお互いに減るのだ。

POINTでいうと

A:B=3:3になってしまう。

いわゆる、「食い合い」になって両者とも得しない。

しかしだ。

A社は何もせず、B社が工場を新設すると

B社の製品は売上を伸ばすだろう。

そのくらいの需要はある。

このままB社の工場がでいてしまうと

POINTは

A:B=3:7になってしまう。

 

一体、どうすればいいのか?

A社にとって最も望ましいのは

「今まで通りの状態。

つまり、B社が工場をつくらないことだ。

 

では、どうすればB社は工場新設を取りやめるだろうか?

そこで社長が取った行動が「空脅し」。

 

つまり、

工場をつくる気など無いのに

つくるとハッタリをかますこと。

「B社さん。

おたくが工場を新設するなら、うちもそうしますよ。

でも、よく考えてください。

それってお互いにとって不幸でしょ。ねえB社さん。」

 

両社が工場を新設すれば

B社の利潤も減ることもB社は理解している。

B社としても「損」はしたくない。

 

結果、B社がとった行動は

工場を新設しない」。

 

つまり、B社が

ゲームから降りた。

 

ハッタリを信じ込ませた

A社の社長の勝利である。

 

 

しかし、「空脅し」を使う時に

気をつけなけらばいけないことがある。

それはバレないようにすること。

 

「お前、それ嘘だろ!」

とツッコまれたら終わりであるw

 

嘘を本当だと信じ込ませる必要があるのだ。

その為にどうするのか。

 

会社間で使われるのが、いわゆる「サクラ」だ。

わざとB社の社員や社長に「偽りの情報」が入るようにする。

 

人は第三者から聞いた事柄の方が信じやすいのだ。

 

あるいは「コミットメント」だ。

A社の社長がメディアなどで約束する。

「もしB社が工場を新設したら、

必ず我が社も同じことをする。必ず。」

 

この方法は、

一見、A社が自分の選択肢を狭めているように見える。

しかし、実際は

B社の選択に影響を及ぼすことができるのだ。

 

 

私はこの『ゲーム理論』を学んで

まるで「カイジ」の世界だな、と思った。

ざわ、ざわ、ざわ・・・・・