悪いものなんか売ってないから買わない!?『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』part②
結論をそのままタイトルにしたような本。
ここにはマーケティングの本質が書かれている。
それを知る上で重要なのが
作者も紹介している島田紳助の「XとYの法則」の話。
詳しく解説しているので、こちらを見て欲しい。
Part①
https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/05/31/010155
今回は本のエッセンスを解説していく。
①「どれ買う?」 「どれでも良いでしょう!」が客の本音!?
何故、現在社会において売れるものと売れないものがあるのか?
それは世の中のすべてのものが
「大体、良い物だからだ」と作者は主張する。
日本は特に「普通」の基準が高い!
何を買っても、どこに行っても大きな失敗体験はない。
70点以上は保証されている。
だからこそ
自分のビジネスもユーザーにとっては「one of them」のひとつにすぎない。
目立たず埋もれる。
だからこそ「差別化」を試みる。
価格で、品質で。
それでも足りず、AD(広告)を回しだす。
リスティング広告などがその代表。
しかし、これらは「クリック課金」であり
いわば「セリ市」構造である。
例えば、「渋谷 美容院」という
キーワードでリスティング広告をうとうとすると
A社は1クリック100円で入札。
B社は1クリック120円で入札。
結果、B社が表示される。
理由は簡単。
その方が胴元が儲かるから。
胴元とはもちろんGoogleやYAHOOだ。
勝負に負けたA社はどうするのか?
今度は1クリック150円で入札する。
こうして単価はどんどん上がっていく。
専門用語で「CPC」というが、これが高騰していく。
結果、自社の利益が減り、そして胴元が儲かる。
つまりお金の消耗戦になる。
中小企業は大企業との「圧倒的な資金力」の差に打ち勝てない。
こうして会社が廃れていく。
これが現状だ。
作者はそれに警鐘を鳴らしている。
その方法では勝てないですよ!と。
②ニーズなんて探れない!作り出すもの!?
作者は「ニーズは作り出すもの」だと主張する。
考えてみれば当然だ。
この日本で
ニーズ(需要)に対して供給が追い付いていない業界などあるだろうか。
答えは「無い」!
無いから20年以上も「デフレ」なのだ。
デフレとはいわば「供給力過多」あるいは「需要不足」のこと。
そんな供給過多の時代に、
ある市場に飛び込んだって勝てる確率は低い。
暴走族の集団にチャリンコで挑むようなものだ。
勝つために「ニーズ」を作り出す。
そして売る。
あなたって、こんなの欲しかったでしょう?
私が最初につくりましたよ。
どうぞ買ってください。
これが理想だ。
このユーザー自身が気付かない欲求を「インサイト」ともいう。
「インサイト」については他記事で詳しく述べている。
是非、こちらも読んで欲しい!
https://yoshiyoshiyoshix.hatenablog.com/entry/2020/06/03/132700
③ニーズづくりの鉄則は「情熱大陸」を観ろ!?
では、
どうやって「ニーズ」を作り出せばいいのだろうか?
ここが重要だ!
作者は「ストーリー」が必要だという。
ストーリーは人を動かし購買に至らせると。
つまり、
魅力的な「ストーリー」を持ったproductで
「ニーズ」を作り出し、売る。
この考えは巷でよく言われる「ブランディング」にも似ている。
では、どんなストーリーが良いのか?
古今東西・老若男女において
人が「感動」するストーリーには共通点がある。
①欠落している/欠落させられた状況の主人公が
②遠く険しいゴール【志】に向かって
③多くの敵や障害を乗り越える
これが鉄則だ。
こう聞いて私が思い浮かぶのは「少年ジャンプ」のマンガだ。
HITするマンガは基本、これに沿ったストーリーだ。
ドラマでも同じ。
例えば、
「とってもHAPPYな主人公が、
何の苦労もなく、目標もなく、毎日幸せに暮らしてます。」
これではドラマに成り得ないww
エンターテインメントのみならず
実社会の商品・サービスでも同じなのである。
起業したとして。
あるいは新市場に参入するとして
①を満たすのは、比較的カンタンだ。
理由は「資金も人脈もない」小さな会社だから。
既にその市場を取っている大企業と比較すれば「欠落」している。
問題は②と③だ。
②のポイントは【志(こころざし)】だ。
真剣に考えなければならない。
注意すべきことは、
「もっともらしい」志はユーザーにばれるということ。
「お客様が第一です!」などという胡散臭いのはNG。
しっかりと「社会性」と「熱意」を持った【志】が重要だ。
でなければユーザーの共感は得られない。
次に③。
ここで必要なのは「エピソード」だ。
開業して、〇か月は客数は計10人で大変だった。
でも、志を信じて乗り切った。
みたいな。
そうすることにより「ブランド化」されていくのだ。
①②③が出来ているかどうか?
本には書いていないが
それを判別するのに私が考えたオススメ方法がある。
TV番組「情熱大陸」に出られるかだ?
あるいはひと昔前のTV番組「波乱万丈」に出られるか?
つまり、TV番組として
視聴者が観るに堪えるような
「ストーリー」を持っているかということ。
もちろん、ほとんどの人間はTVのディレクターではない。
でも、ディレクターになり切って、今の自分や会社を見る。
この妄想は
案外、自社の状況を冷静に判断できるのではないだろうか?